8月8日(土)、子ども全国ネット9周年企画 on zoom「10年目のほうしゃのう」に参加、5名の方の発表をオンライン視聴しました。以下、お話の一部です。
〇「いわき放射能市民測定室たらちね」鈴木さん
・原発/放射能問題は、あまりにもたくさんの問題を抱えている。何らかの方法で貢献できるよう模索したい。
・たらちねクリニックでは、心のケアも必要と考えている。事故当時に生まれた子が小学生になっており、どんな風に不安を抱えているか。また母親が、今まで考えない様にしてきた人も子どもに聞かれて「あの時どうしていたか」「お産の時の不安」を語りだした。
・感染症拡大防止のため中止になっていた甲状腺検査を、7月から再開。申し込み多い。
・原発立地をした双葉郡の歴史を学び、事故以前からの縦の時間軸を掘り下げる会を開催したい。世代を超えて若い人ともやっていければ。
・感染拡大した頃から測定依頼が増えており、放射能汚染問題と関連づけて考える人は多いのでは。
・これから、限られた時間の中で少しでも子どもたちの肩の荷を下ろすことができるよう、淡々と続けていきたい。
〇「子ども脱被ばく裁判の会」片岡さん
・子ども脱被ばく裁判は、2014年8月に福島地裁に提訴以来27回。2021年3月1日判決。
・今年7月28日結審の口頭弁論期日の結語より。
「現在の教育制度は、放射線以外の危険物に対し極めて厳格な安全基準を課しているが、放射線被ばくについては比較にならない緩慢なルールが放置されている」
「本件で求められているリスク評価は、子どもたちが均しく安全な教育を受ける権利との関係のものである。裁判所には、この権利に基軸をおいた観点からのリスク評価のもとで、憲法や教育基本法等の諸法令が定める子どもの学習権の保証の具体的方策の在るべき姿を示し、日本の司法が健全であることを示していただきたい」
「原告らは、単に被害の賠償を求めるものではない。民主国家における被害住民として、危急時においても適正な情報を受け、主体的に被害の回避をはかる権利、被害者としての尊厳の確認を求めているのであって、そのことは今回の弁論期日で原告が涙をこらえながら一様に訴えていたことである」
「低線量の放射線被ばく被害は未解明の部分が多く、それだけに不安は募り、子どもに無用な被ばくを受けさせたことに対する保護者の自責の念は強い。裁判所は、この点に十分配意された被告国や県の過失判断、原告らの損害認定をされることを切に期待する」
・事故当時小さかった子どもたちが大きくなって、自分たちが語れるようになった。
・2017年8月8日第11回裁判では、赤ちゃんから高校生の子どもたちが傍聴席にいた。
・意見陳述したお父さんは、怒りに手が震えていた。
・力のある者から力の無い者への「あなたたちのためですよ」というパターナリズムに抗う生活者でありたい。
・子ども被ばく裁判は、次の世代のために繋げていく裁判。
・今年度、山下俊一氏、鈴木眞一氏の証人尋問があってもマスコミは一社も来なかった。
・2021年3月1日、公正な判決を!
〇「関東子ども健康調査支援基金」木本さん
・福島以外では健康調査が入らなかったので、子どもたちを守るために何かしなければと立ち上げた。
・医者、技師、スタッフ全員ボランティアの検査。
・1年間で千数百人、6年続けて思うことは、要専門医が増えているということ。
・新型コロナウイルス禍により検診中止になった際の申込者の反応は本人も含め「中止はやむを得ない」「でも必ず再開してほしい」という声がほとんど。不安は消えないこと、原発事故で被ばくした以上検診継続は必要だと捉えられていることが確認できた。
・9名の協力医は関東、島根、鹿児島など各地におられ、今は病院で奮闘されている。けれど長期中止によって市民による関東での甲状腺検診が立ち消えることの無いようにと応援してくださっている。
・毎年1回の検診を担ってきた17の運営団体は、感染収束と共に検診再開を希望していることが分かった。
・事故当時小学5~6年生の子どもたちは事故のことを親から聞いておらず、被ばくに気付いていない当事者もいる。
・感染防止のための工夫をして2021年3月再開を目指している。原発事故時に生まれた子が15歳になる2026年までは検診を続けていきたい。
・原発事故の後処理ができず健康被害も明らかにならないうちに、各地の原発は安全審査に合格している。東海第二運転差止訴訟は7月に結審し来年3月までに判決が出るが、工事は着々と進んでいる。福島の事故後に何が起きどう変わったのかを市民も認識し、二度と繰り返さないために何ができるのか考えていきたい。
〇「311受入全国協議会」(通称うけいれ全国)佐藤さん
・保養プログラムは、原発事故により放射能の影響と不安がある地域に暮らす人々が休日などを利用して他地域に滞在し、一時的に離れることで体調を整え心身の疲れを癒すことを目的として企画運営されている。
・社会的位置づけに変化があった。2013年までは被災者支援活動の一つとして受け入れられていたが、その後リフレッシュキャンプと呼ぶなど配慮、2017年から現在では風評被害を強化すると見做されることも。
・腰を据えて淡々と関わっていきたい。
〇「一般社団法人 ほっと岡山」服部さん
・岡山では多くの避難者を受け入れた。避難者支援、岡山と他地域での定住・移住支援、避難元の在住者への支援で、ほっと岡山が大切にすることは避難者一人ひとりの生活再建・回復。
・避難者が避難・移住先で必要なのは、心身の健康、生活の安定、安心して相談できること、孤立防止、声を届けること。それは、自分の人生を生きるということ。
・直接支援、調査分析、施策/法整備への提言などに取り組んでいる。
・原子力災害は社会で考えなければいけない問題。
・お互いに声をかけあい、助けあえる社会を目指す。
・災害により降らしの変化を余儀なくされた一人ひとりの「声なき声」を尊重し、3.11の経験を「これから」に生かしていく。
〇「乳歯保存ネットワーク・非営利未来型(株)はは」大沼さん
・ストロンチウム90はカルシウムとよく似た特徴を持ち、体内に取り込まれた場合は主に骨に沈着し、骨髄被曝による白血病などの造血障害や骨萎縮、骨壊死、骨肉腫の原因になる。
・乳歯を保存してストロンチウム90を測ることで、東電福島原発事故の影響による追加内部被ばく量を知ることができ、将来の疾患発症に対して原因究明の一助となる。
・大気圏内核実験の頃は、国の研究機関が実施していたが、原発事故では国は内部被曝問題を軽視しており、「はは」を立ち上げた。
・皆さんの乳歯保存、乳歯提供、ご支援を切にお願いします。
〇「みんなのデータサイト」中村さん
・原発事故後に全国にできた市民測定所が、手を取り合ってできた団体。
・2014~2017年、東日本土壌ベクレル測定プロジェクトで延べ4000人の協力のもと、国がやらない17都県3400ヶ所の広範囲の土壌検査を市民が力を合わせて行った。
・2019年7月、日本ジャーナリスト会議JCJ賞を受賞。市民団体として唯一「真実を追求するジャーナリズム」と、マップ集が表彰された。
・2019年、都立水元公園に1万ベクレルを超える地点があった。市民が測らないと除染されない。
・国が発表している食品検査の8割は畜産物で、その99.3%は牛肉。バランスが崩れた測定。
・メルカリ、ヤフオクで山菜やキノコが売られる時代に。流通に乗らず行政のチェックの網をすり抜けて、ネットの個人売買で流通してしまっていることが今回ふくしま30年プロジェクトの地道な調査により発覚した。今後は個人販売についても、行政が「ぬき打ち検査」する方向性。
・原発事故後の調理加熱用の薪の基準値は40㏃/㎏。これは、薪を燃やすと薪に含まれる放射性セシウムは最大約200倍濃縮されるので8000㏃/㎏になる可能性のある基準値。17都県に限らず調査された地域の70%から100㏃/㎏を超える灰が見つかっている。キャンプや薪ストーブには長く注意が必要。
・Zoom勉強会を月1回くらいやっている。要望に応じてオンライン・オフライン講座できるので気軽にお声掛けください。
皆さんの地道な活動のお話を伺って感動すると同時に、ああ、子どもたちは大きくなったんだなあとつくづく感じました。
大人が「子どもたちを守りたい」と始めた活動は、「当事者である子どもたちと共に歩む活動」になっていくのですね。
私たちも、子どもたち自身が考え真実を求めて自分らしく生きるお手伝いをしていけたらと思いました。
ダウンロードして印刷した資料。ボリュームあり!